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僕等の未来(小説)

2012年03月18日

『将来』なんてずっと先の事だって思ってた。
でも現実は違う。
あっという間に17歳で、もう進路とか考える時期が来ている。
将来なんてあっという間に過去になっちまう。
なのに俺はまだその『将来』が何なのか判らない。
いや、判らないふりをしてるのか・・・。
本当は考えることに逃げている。
野球選手にもサッカー選手にもなれない事に気がついちまったから。
宇宙飛行士やパイロット、ましてや医者にだってなれそうにない自分
がここにいる。
子供の頃はなりたいものになれるって信じてたのに。
今はその『なりたいもの』が何なのか判らないなんて。
俺って情けない。
自然とため息がついて出る。
「なんだよ、いい若い者が昼間っからため息なんかついて。」
「おまえこそジジ臭いんだよ、セイ。」
セイの頭にヘッドロックをかける。
「うわっ、よせバカ。」
ギブアップをしながらセイが離れた。
「で、コウは何考えてたわけ?」
大袈裟に首をさすりながら俺を覗き込む。
「別に。」
少しムッとしてセイから顔を背ける。
「まっ、コレだろう?」
進路調査の紙をひらひらとさせた。
知ってて言うから性質が悪い。
「煩いな。」
セイを睨み付ける。
「コウはまだ進路決まってないわけだ。」
セイの笑顔にはかなわない。
「そう。」
観念して返事をする。
「セイは?」
一応聞いてみる。
成績も抜群だし、部活じゃ高校サッカー選手権に出場経験もある。
新聞記者なんかが取材に来たことだって1度や2度じゃない。
「俺も決めてない。」
予想してない答えに一瞬返答に詰まる。
「だって・・・。」
「今の俺が全てじゃない。」
セイがきっぱりと言う。
「それって・・・?」
「はは、情けないことにまだ将来ってやつを捜索中。」
恥ずかしそうにそう言ったセイが少し羨ましい。
俺はそれすら口に出来ないでいたのに。
「怖くない?」
「怖い?」
言い返されて急に恥ずかしくなって、なんでもないって小声で返事を
する。
「まぁ、不安だよ。このままやりたいことが見つからなかったら、俺
 ってどうなるんだろうって。」
「セイでも思うんだ・・・。」
ぽつりと口をついて出る。
「なんだよ俺でもって、失礼なヤツだな。」
殴るフリをするセイに謝りながら、頭ん中でぐちゃぐちゃっとしてた
モノがバカらしくなる。
悩んでるのは自分だけじゃなくて、きっとオトナだってそういうこと
考えて今があるんだと思う。
『なりたいもの』を見つけるまで悩んでみるのも悪くない。
真剣に考えるってのも時には必要なんだから。
「ふふ、俺も一緒。仕方ないから付き合っちゃるよ。」
またセイにヘッドロックをかけた。
「だー、やめろって。」
ゲンキンなヤツだなって文句言いながら俺の腕をスリ抜け、意味あり
げな笑顔を見せる。
セイにはかなわない。
そう思いながらつい顔が笑ってしまう。
「とりあえず選択肢が広がるように勉強でもしてみますか。」
セイが参考書をひらひらとさせる。
「だぁぁ、それが一番イヤだから悩んでんじゃん。」
「贅沢言わない。これをなくして道は開かん!!」
「そういうとこがジジ臭いっつーの。」
まっ、やれるトコまでやってみるのも悪くない、な。
そう言いながらセイと歩き出した。

将来なんてあっという間に過去になっちまう。
だからその将来ってやつが過去になった時、自分は何か出来たって
確かな証拠が欲しいのかもしれない。
別に世間からもてはやされる成功なんて欲しい訳じゃない。
まぁまぁじゃないって、自分が満足できればそれで十分だろ。
全ては俺の手の中にあるから。

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