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My Life(散文)

2012年03月23日

久しぶりに実家に遊びに来た。
短大を卒業して5年。
1人暮らしは7年だ。
こんなに長い間離れていてもいつも変わらない場所がある。
それだけでもうれしくて、涙が出るほどあったかい気持ちになる。

「久しぶりじゃない、仕事は?この間まで忙しい忙しいってぼやいてたじゃない。」
母は突然訪れたあたしを驚く風でもなく、慣れた手つきでコーヒーやらお菓子を用意しながらキッチンとリビングを行ったり来たりしてる。
こういう時、ここぞとばかり母に甘えてソファに座り込みを決め込む。
「もぉ、そんなに食べられないからお母さんも座って。」
次から次へお菓子や果物を並べては悩む母を見かねてソファに座らせる。
「それにしても久しぶりねぇ。今年のお正月は仕事で帰って来なかったもんねぇ。」
去年の春以来かしらと思い出すように母が言う。
「そっかぁ。そんなに前になるのか・・・。」
口にして少しと罪悪感が募る。
1年近くもこの家に帰って来なかったのか。
「仕方ないんじゃない?」
母がそう言って笑顔を見せる。

あたしの仕事は忙しい。一度プロジェクトが走ると昼も夜も関係ない。
もちろん休日なんてのも存在しない。
こんなご時世、しっかり時間外手当もでるのはありがたいけど友達との連絡がほとんどなくなったことに気がつかないふりをしてきた。
現実を見てしまうと自分を支えているモノが崩れてしまいそうで怖かったから。

「で、今回はこんな平日に休みだなんて。会社でも辞めたの?まぁ、それはそれでかまわないけど。」
だって働きすぎなんだもの。と最後の方は小さな声でつぶやきながらテレビのリモコンを手にした。
「あはは、違うって。今まで忙しかったからね。」
心配してくれる母がすごく愛しくてくすぐったい。
素気ない返事をしながら妙に照れくさくなってチャンネルを変えた。
「そぉ?人間体が基本なんだからね。若いからって無理すると年取ってからくるわよ。」
「まぁ、やれるとこまでやったらね。そっから先はそん時考えるよ。」
そう言いながら喉につかえてたものが取れるように、心が軽くなるのが分かった。
最近良く考える。
何のためにこんなに頑張ってるのか。本当はこんなに頑張ることなんてないんじゃないかって。
会社を辞めよう。そう思って実家に帰ってきた。
仕事はいつものように忙しかったけど、無理に休暇を取ったのだ。
不思議とすんなり休暇は受理された。
あぁ、あたしは守られてるんだって今更ながら気がついた。
1人で何でもやってきたと思ってたけど、それは勘違いでいつも誰かが助けてくれてる。
例えば家族だったり、先輩だったり、友達だったり。
そうしてあたしは生きている。

明日帰ろう。
そしてたまった仕事を片付けよう。
そう思いながらコーヒーをゆっくり飲んだ。

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